教官の中には、陸大のそうした教育の建前を忘れ、自分と異なる説を主張する学生を嫌う者もいたが、坂野郷之は公正で、優れた解答者には、「教官の及ばなかったところまで考えている」と、明言して憚らぬ気宇(きう)の大きさが、より学生に熱を入れさせ、自宅まで押しかけても、とことん学生とつき合うタイプであった。
山崎豊子『不毛地帯』
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