郷士は単に身分にすぎず、郷士には富家(ふか)もあったが、しかし桐野の生家は極貧であった。
司馬遼太郎『翔ぶが如く』
それが、西郷と大久保という、当時の日本の人材水準をはるかに越えた両人の英雄的活動によって革命主力となり、そのあざやかな手腕によって戦いに倦ま(うま)ぬまま革命を樹立させたのである。
司馬遼太郎『翔ぶが如く』
もっとも民権家になった沼間守一ばかりは、のちの河野の秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)的な国家擁護主義を、河野に限って許容し、許容したばかりか、たれをつかまえても馬鹿よばわりした沼間のようなうるさい男が、さきにふれたように、
司馬遼太郎『翔ぶが如く』