2022年4月30日土曜日

放胆

父は放胆(ほうたん)な男で、かまうことないから、思い切ったことをやれと、いつも自分に言ったものだ。

星新一『明治の人物誌』

2022年4月25日月曜日

馬脚

こんな立派な計画も、すぐさま馬脚をあらわし(ばきゃく)た。

星新一『人民は弱し 官吏は強し』

2022年4月17日日曜日

恬淡

しかし、名声は高くても、彼は金銭に恬淡(てんたん)な性格のため、少しも金の用意がなかった。

星新一『人民は弱し 官吏は強し』

2022年4月16日土曜日

ふところ手

他人が汗を流すのをふところ手(ふところで)で眺めていて、その成果を横取りしようとする連中のほうが悪い。

星新一『人民は弱し 官吏は強し』

2022年4月12日火曜日

治績

後藤はその企画力と実行力によって、都市計画に交通に産業に、着々と治績(ちせき)をあげていた。

星新一『人民は弱し 官吏は強し』

2022年4月6日水曜日

一朝

一朝(いっちょう)事あらば滑走路にでも早替りしそうな堅固な道路の左手にフェンスが連なりはじめた。

山崎豊子『運命の人』

2022年4月4日月曜日

旧態依然

職務上知り得た秘密情報は、墓場まで持って行くというのが外務官僚の美学らしいが、国家の情報は誰のものかという意識に欠け、三十年近く経った今なお旧態依然(きゅうたいいぜん)とした秘密主義には、呆れるばかりだった。

山崎豊子『運命の人』

2022年4月3日日曜日

矜持

由里子は、答えようがなかったが、夫を信じているという矜持(きょうじ)が、自分を支えているのかもしれない。

山崎豊子『運命の人』