2023年2月26日日曜日

一日千秋

国で主君(土井利忠)が一日千秋(いちじつせんしゅう)の思いで大野丸の到着を待っておられるというのに、自分の不注意からつまらぬ病気にかかったばかりにこんな遅滞を招いてしまった、もう病気も癒ったのであるから、こんなところにぐずぐずしていないで、一日も早く敦賀に行かねば申し訳が立たない、というのであった。

綱淵謙錠『朔』

2023年2月25日土曜日

莞爾

時には互いに顔を見合わせて、莞爾(かんじ)とうなずきあうこともあった。

綱淵謙錠『朔』

2023年2月23日木曜日

逆縁

彼は逆縁(ぎゃくえん)だからといって一切これらのことを断った。

大池唯雄『秋田口の兄弟』

2023年2月22日水曜日

肩透かしを喰う

雄三郎は、何となく肩透かしを喰っ(かたすかしをくっ)たような気がして、ぼんやり家のなかに突っ立っていた。

大池唯雄『秋田口の兄弟』

2023年2月20日月曜日

掠奪

戦争の実相に慄然とした船岡勢も、はじめのうちこそかような行為をする敵兵を憎んだが、そのうちにはなんとも思わなくなり、自分達もまた進んで掠奪(りゃくだつ)をし、放火をし、次第に相貌まで変えて荒ませていった。

大池唯雄『秋田口の兄弟』

2023年2月19日日曜日

凌辱

百姓達は、平素収奪され圧伏されていた藩主の軍隊のために恐喝せられ、婦女は凌辱(りょうじょく)せられ、馬牛鶏の数は悉く盗まれて村は荒村と化した。

大池唯雄『秋田口の兄弟』

2023年2月18日土曜日

払暁

七日払暁(ふつぎょう)から一斉に進発を開始し、その日のうちに湯沢、稲庭の二駅を奪い、味方は敵を圧迫してどんどん進撃した。

大池唯雄『秋田口の兄弟』

2023年2月16日木曜日

日ならずして

仙台領柴田郡船岡村は伊達家御一家五千石柴田中務意広の知行所であったが、戦況は日に日に味方に不利で、官軍は日ならずして(ひならずして)国境に迫ろうとしているという風評がしきりであった。

大池唯雄『秋田口の兄弟』