2023年3月31日金曜日

追い縋る

政宗は、追い縋っ(おいすがっ)た。

大池唯雄『兜首

2023年3月30日木曜日

扈従

庭に下り立って輝宗は客を送って進み、上野、成実の両名がその後に扈従(こじゅう)した。

大池唯雄『兜首

2023年3月27日月曜日

股肱

同じく一方の大将として塩松攻略に力を協せていたのだが、政宗にとっては無二の股肱(ここう)であった。

大池唯雄『兜首

2023年3月26日日曜日

止めどもなく

三郎八は踊りあがって、引き裂けるばかり大口開いて、けたたましい馬鹿声をはり上げ、腸を霊山の頂までも吐き出すように腹をかかえて止めどもなく(とめどもなく)笑う。

大池唯雄『兜首

2023年3月25日土曜日

豪奢

東京での豪奢(ごうしゃ)な生活に馴れていた筈の彼が、何の未練も執着も残さず、あっさりと農民の姿に切替ったのも、心中、深く期することがあったのであろう。

池波正太郎『賊将

2023年3月24日金曜日

欣喜雀躍

西郷は欣喜雀躍(きんきじゃくやく)した。

池波正太郎『賊将

2023年3月23日木曜日

獅子奮迅

京都では新選組や見廻組の猛者達に恐れられるほどの凄まじい剣の冴えを見せたのだし、薩摩藩や官軍が行った戦争のたびに、利秋は「あやつは、よろずにつけ物を怖がることを知らん奴じゃ。胆の太かこと無類じゃ」と外祖父の別府九郎兵衛が口癖のように言っていた言葉の通り、獅子奮迅(ししふんじん)の働きをしてきている。

池波正太郎『賊将

2023年3月19日日曜日

やる方ない

半次郎の声にはやる方ない(やるかたない)悲憤の情がこもっている。 

池波正太郎『賊将

2023年3月18日土曜日

幇間

今吉原の廓で幇間(たいこもち)をやっているよ、松廼舎露八。

子母澤寛『玉瘤』

2023年3月11日土曜日

人もなげ

こういったロシア人の人もなげ(ひともなげ)な振舞いにたいして、幕府は相変らず「露人の来住は貸地だと思って黙認せよ」という態度であった。

綱淵謙錠『朔』

2023年3月7日火曜日

不得要領

勿論、いくら弱腰の幕府当局でも飲める要求ではなかったし、またロシアの海軍士官モフェト他二名が横浜で攘夷派浪人に暗殺されるという事件も起きたりして、ムラヴィヨフは不得要領(ふとくようりょう)のまま品川湾を抜錨した。

綱淵謙錠『朔』

2023年3月5日日曜日

平穏裡

以上のような早川弥五左衛門の前半生を顧みて思うことは、もしわが国の歴史にまだ泰平の眠りをむさぼっておれる余裕があったならば、彼の一生はあるいは名牧民官として平穏裡(へいおんり)に幕を閉じたかもしれないし、あるいはさらに大野藩の政治の中枢にあって名宰相の名をほしいままにしていたかもしれない、ということである。

綱淵謙錠『朔』

2023年3月4日土曜日

胸裡

弥五左衛門の胸裡(きょうり)に潜んでいた蝦夷地開拓の情熱は海防掛に任ぜられたことで大きくふくらみ、外からの点火を待っていたのであった。

綱淵謙錠『朔』