2022年3月26日土曜日

僥倖

帰国を一カ月後に控えたこの僥倖(ぎょうこう)を、我楽は今まで考えたことも無い神に謝した。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月25日金曜日

ほだす

弓成の熱意にほだされるように、云った。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月24日木曜日

現金

入場して来た時の勢いはどこへやら、スタコラと逃げる赤牛の現金(げんきん)さに、敗ければ敗けたで惜しみない歓声が上った。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月20日日曜日

甲斐性

だけどミチとの二人暮らしで、そんな甲斐性(かいしょう)はないからね。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月15日火曜日

稚気

作業中とは別人の稚気(ちき)を含んだ表情だった。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月13日日曜日

苛む

長い間、アメーバ赤痢に 苛まれ(さいなまれ)餓え、先生の巨軀と強靭な体力であればこそ、今まで持ちこたえて来られたのだろうが、もう自ら手足を動かせる余力さえ残っていないのかもしれない。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月12日土曜日

逡巡

逡巡(しゅんじゅん)の挙句、ペンを動かした。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月6日日曜日

忸怩

東京の妻への手紙を書くためだったが、なかなか文言が出て来ない、長年にわたって音信を断ち、由里子が現在、どうしているか解らない自分の無責任さに忸怩(じくじ)とするばかりだった。

山崎豊子『運命の人』

2022年3月1日火曜日

披瀝

弓成記者のことを尊敬している者もいるでしょうから、役場へ行って自分の気持ちを披瀝(ひれき)すれば、了承してくれると思いますよ。

山崎豊子『運命の人』