2026年3月9日月曜日

病葉

桜田は虚ろな表情になり、こたえなかった。いや、こたえられなかった。努の言葉は、枝を離れた病葉(わくらば)のように桜田の胸の奥底へと舞い落ちていく。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月8日日曜日

ひっつめ

近づいて声をかけると、ルーペ越しに試作品を観察していた立花が、血走った目を向けてきた。髪をひっつめ(引詰)にして作業している加納にも、疲労が滲んでいる。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月7日土曜日

知悉

滝川もまた、付き合いが古いだけに貴船の置かれた状況を知悉(ちしつ)していた。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月5日木曜日

霞を食う

中里はせせら笑った。「結構なことだ。だけどな、お前はかすみ食っ(霞くっ)て生きていけるのか」

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月4日水曜日

軍門に降る

「我々があの人の軍門に降ら(ぐんもんにくだら)ない以上は」一村の言葉をたしかめ、佃は通話を終えた。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月3日火曜日

袖にする

私がわざわざこんないい話を持ってきたのに、君はそれを袖にする(そでにする)というのかね。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月1日日曜日

容喙

医者一家に生まれながら、自らは医学に進まず公認会計士となった"はぐれ者"だが、会計知識を武器にして、あれやこれやと大学のやり方に容喙(ようかい)してくる難敵である。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』