2026年7月31日金曜日

哄笑

歓声は哄笑(こうしょう)に変わった。治憲が米沢に入国して初めてきく藩士たちの哄笑であった。笑いは心をほぐれさせる。ある種の感動が大広間に生まれていた。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年7月30日木曜日

人いきれ

城内の大広間は侍たちで溢れた。風がないから人いきれ(ひといきれ)でたちまち暑くなる。暑さは人を不機嫌にする。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年7月29日水曜日

目に余る

須田は、国もとでの重役たちの動きを、手にとるように知っていた。というより、かれもその一味だった。米沢本国での"火種組"の行動は、重役たちからみれば目に余っ(めにあまっ)た。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年7月26日日曜日

鳩首

鳩首(きゅうしゅ)して、対策を協議するが、いい知恵は出ない。結論が決まっているからである。すべては金に帰着する。そして、その金がいまの上杉藩にとって、もっともないもののひとつであった。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年7月25日土曜日

徒食

武士の権威とは何か、侍とは何か。私からみれば、民の年貢で養われる徒食(としょく)の人間にすぎない。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年7月23日木曜日

ほだされる

ここの宿主が商用で江戸に来て千代を気にいり、何度かかよって、「女房になってくれ」と懇願した。からだの弱そうな誠実な男だった。男の実にほだされ(絆され)て、千代は小野川に来た。ようやく温泉宿の経営をおぼえたころ、亭主が死んだ。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年7月22日水曜日

眉宇

しかし、治憲は、「この人事で改革を進める」といった。穏やかだが、決して退かない強い決意が眉宇(びう)にあった。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』