2026年8月20日木曜日

まがうかたなく

強奪者であるにせよないにせよ、DNAは今日まがうかたなく(紛う方なく)生存機械を握っている。

リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』

2026年8月19日水曜日

がなりたてる

彼はトビケラを飼って繁殖させることができればと考えているのだが、それを試みようにも、彼らを交尾させることができないと語った。これに対して、最前列にいた昆虫学の教授が、まるでいちばん自明な事柄を見過ごしているといわんばかりに、大声で。がなりたてたのだ。

リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』

2026年8月18日火曜日

率先垂範

しかしその徳は、かれの生来のものであり、メッキではなかった。まやかしものではなかったのである。率先垂範(そっせんすいはん)、先憂後楽のかれの日常行動は、多くの人々の心をうった。かれが、贋物ではなく、本物の誠実な人間であったからである。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月17日月曜日

ツーカーの仲

竹俣の来訪を、鷹山は表面は当惑しながらも心の中では喜んだ。思ったことをズケズケいい、しかもそのズケズケいうことばの中に、深い内容があるからだ。ひとことでいえば、おなじ水準の話ができるツーカーの仲(つうかあのなか)だったからだ。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月15日土曜日

食傷

治広は、木村がことごとに口にする、「お屋形さまなら、こうなさる」ということばに食傷(しょくしょう)した。食傷しただけでなく、しまいには怒った。しかも木村の教育が十九歳になるまでつづいたから、治広は完全にかたくなになってしまった。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月12日水曜日

椿事

謙信の法要はおこなわれた。しかし代参の竹俣が欠席した会場は、落ち着いて礼拝する者はいなかった。参会者は、上杉家始まって以来のこの椿事(ちんじ)に、すべての者が動転していた。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月11日火曜日

腰巾着

この日、治憲の恩情ある計らいを受けながら、しかし竹俣は心を入れ替えなかった。しばらくしてから竹俣の堕落ぶりは逆に速度をました。相変わらず追従する腰巾着(こしぎんちゃく)を連れて村々を歩いては馳走を強要した。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』