2026年8月12日水曜日

椿事

謙信の法要はおこなわれた。しかし代参の竹俣が欠席した会場は、落ち着いて礼拝する者はいなかった。参会者は、上杉家始まって以来のこの椿事(ちんじ)に、すべての者が動転していた。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月11日火曜日

腰巾着

この日、治憲の恩情ある計らいを受けながら、しかし竹俣は心を入れ替えなかった。しばらくしてから竹俣の堕落ぶりは逆に速度をました。相変わらず追従する腰巾着(こしぎんちゃく)を連れて村々を歩いては馳走を強要した。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月9日日曜日

言下に

治憲は静かにきいた。「なぜ、辞めたいのだ」「疲れました」竹俣は言下に(げんかに)答えた。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月7日金曜日

好事魔多し

どんなに優れた人間にも、好事魔多し(こうじまおおし)というたとえがある。まして権力は魔ものである。権力に永く馴れていると、知らないうちに人間は堕落する。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月4日火曜日

金科玉条

そうです。お屋形さまのご指示は、こういう生きかたを金科玉条(きんかぎょくじょう)にしている人間にとっては、全部逆の指示です。大混乱が起こります。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月3日月曜日

不得要領

そのときがそうだった。不得要領(ふとくようりょう)な表情をしている柏木を見ると、須田はムッとした。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年7月31日金曜日

哄笑

歓声は哄笑(こうしょう)に変わった。治憲が米沢に入国して初めてきく藩士たちの哄笑であった。笑いは心をほぐれさせる。ある種の感動が大広間に生まれていた。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』