それとも小さな氷山の上に立ったシロクマは、行く先もしれず、海流の赴くままどこかに流されていく私の身の上を暗示しているのだろうか? いや、たぶんそれは私のうがちすぎ(穿ち過ぎ)だろう。
村上春樹『騎士団長殺し』
それとも小さな氷山の上に立ったシロクマは、行く先もしれず、海流の赴くままどこかに流されていく私の身の上を暗示しているのだろうか? いや、たぶんそれは私のうがちすぎ(穿ち過ぎ)だろう。
村上春樹『騎士団長殺し』
客観的に見れば顔立ちは本来美形であるはずなのに、ただ素直に「美しい」と言い切ってしまうことに、人はなんとなく戸惑いを抱くのだ。何かが—おそらくある種の少女たちが成長期に発散する独特の生硬(せいこう)さのようなものが—そこにあるべき美しい流れを妨げているのだ。
村上春樹『騎士団長殺し』
彼女にとって、私の存在したかつての人生と、私の存在しない今の人生とのあいだにはどれほどの違いがあるのだろう? そして彼女はその違いについてどんな感興(かんきょう)を抱いているのだろう? 私は考えるともなく、そういうことを考えていた。
村上春樹『騎士団長殺し』