2026年3月14日土曜日

静謐

その連絡を受け取ったとき、ざわついていた室内が水を打ったように静まり返った。静謐(せいひつ)の中、佃のやりとりの声だけが響いている。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月13日金曜日

瑕疵

万が一、ウチの体制の瑕疵(かし)を指摘されたとなれば、我々も無傷ではいられない。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月12日木曜日

痛罵

そう決めつけると唇を歪め、「そんな脇の甘いことだから、いまだに開発の目処が立たないんだよ」、と痛罵(つうば)した。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月11日水曜日

平仄

たしかに、それなら日本クラインが佃製作所ではなく、サヤマ製作所にバルブを発注した理由として平仄(ひょうそく)が合う。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月10日火曜日

腹案

「オレにはひとつ、腹案(ふくあん)がある」その佃のひと言に吸い寄せられるように、江原の視線が動いた。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月9日月曜日

病葉

桜田は虚ろな表情になり、こたえなかった。いや、こたえられなかった。努の言葉は、枝を離れた病葉(わくらば)のように桜田の胸の奥底へと舞い落ちていく。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月8日日曜日

ひっつめ

近づいて声をかけると、ルーペ越しに試作品を観察していた立花が、血走った目を向けてきた。髪をひっつめ(引詰)にして作業している加納にも、疲労が滲んでいる。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』