ここの宿主が商用で江戸に来て千代を気にいり、何度かかよって、「女房になってくれ」と懇願した。からだの弱そうな誠実な男だった。男の実にほだされ(絆され)て、千代は小野川に来た。ようやく温泉宿の経営をおぼえたころ、亭主が死んだ。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
ここの宿主が商用で江戸に来て千代を気にいり、何度かかよって、「女房になってくれ」と懇願した。からだの弱そうな誠実な男だった。男の実にほだされ(絆され)て、千代は小野川に来た。ようやく温泉宿の経営をおぼえたころ、亭主が死んだ。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
一つの火種が十にも二十にもなった。そしてそれぞれがまた新しい炭に移された。炭火は十倍にも二十倍にもなったのである。これが、雪の道に燃えた、新しい富民(ふみん)のための改革の火種であった。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
その古い池を、棒を持ってかきまわしに行こう、と決意したものの、治憲は決して短兵急(たんぺいきゅう)にいきなりその池をかきまわしてはならない、と自分にいいきかせた。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』