2026年9月21日月曜日

禍々しい

満月に近い月の白く艶やかな光に照らされた祠は、それなりに意味深く、いくらか禍々し(まがまがし)くさえ見えたのだが、今ではただの色褪せた貧相な木箱にしか見えなかった。

村上春樹『騎士団長殺し』

2026年9月20日日曜日

得心がいく

いいですよ。得心がい(とくしんがいく)まで考えてみてください。とくに差し迫った話ではないと先方は言っています。

村上春樹『騎士団長殺し』

2026年9月12日土曜日

帳尻を合わせる

東京に戻ってきて、長いあいだ独身生活を送っていたが、絵を描くだけで十分生活できるようになってから、突然思いついたように郷里の遠縁の女性と結婚した。まるで人生の帳尻を合わせる(ちょうじりをあわせる)みたいにさ。

村上春樹『騎士団長殺し』

2026年8月20日木曜日

まがうかたなく

強奪者であるにせよないにせよ、DNAは今日まがうかたなく(紛う方なく)生存機械を握っている。

リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』

2026年8月19日水曜日

がなりたてる

彼はトビケラを飼って繁殖させることができればと考えているのだが、それを試みようにも、彼らを交尾させることができないと語った。これに対して、最前列にいた昆虫学の教授が、まるでいちばん自明な事柄を見過ごしているといわんばかりに、大声で。がなりたてたのだ。

リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』

2026年8月18日火曜日

率先垂範

しかしその徳は、かれの生来のものであり、メッキではなかった。まやかしものではなかったのである。率先垂範(そっせんすいはん)、先憂後楽のかれの日常行動は、多くの人々の心をうった。かれが、贋物ではなく、本物の誠実な人間であったからである。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』

2026年8月17日月曜日

ツーカーの仲

竹俣の来訪を、鷹山は表面は当惑しながらも心の中では喜んだ。思ったことをズケズケいい、しかもそのズケズケいうことばの中に、深い内容があるからだ。ひとことでいえば、おなじ水準の話ができるツーカーの仲(つうかあのなか)だったからだ。

童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』