治広は、木村がことごとに口にする、「お屋形さまなら、こうなさる」ということばに食傷(しょくしょう)した。食傷しただけでなく、しまいには怒った。しかも木村の教育が十九歳になるまでつづいたから、治広は完全にかたくなになってしまった。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
治広は、木村がことごとに口にする、「お屋形さまなら、こうなさる」ということばに食傷(しょくしょう)した。食傷しただけでなく、しまいには怒った。しかも木村の教育が十九歳になるまでつづいたから、治広は完全にかたくなになってしまった。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
謙信の法要はおこなわれた。しかし代参の竹俣が欠席した会場は、落ち着いて礼拝する者はいなかった。参会者は、上杉家始まって以来のこの椿事(ちんじ)に、すべての者が動転していた。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
この日、治憲の恩情ある計らいを受けながら、しかし竹俣は心を入れ替えなかった。しばらくしてから竹俣の堕落ぶりは逆に速度をました。相変わらず追従する腰巾着(こしぎんちゃく)を連れて村々を歩いては馳走を強要した。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』