そうです。お屋形さまのご指示は、こういう生きかたを金科玉条(きんかぎょくじょう)にしている人間にとっては、全部逆の指示です。大混乱が起こります。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
須田は、国もとでの重役たちの動きを、手にとるように知っていた。というより、かれもその一味だった。米沢本国での"火種組"の行動は、重役たちからみれば目に余っ(めにあまっ)た。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
鳩首(きゅうしゅ)して、対策を協議するが、いい知恵は出ない。結論が決まっているからである。すべては金に帰着する。そして、その金がいまの上杉藩にとって、もっともないもののひとつであった。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
ここの宿主が商用で江戸に来て千代を気にいり、何度かかよって、「女房になってくれ」と懇願した。からだの弱そうな誠実な男だった。男の実にほだされ(絆され)て、千代は小野川に来た。ようやく温泉宿の経営をおぼえたころ、亭主が死んだ。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
一つの火種が十にも二十にもなった。そしてそれぞれがまた新しい炭に移された。炭火は十倍にも二十倍にもなったのである。これが、雪の道に燃えた、新しい富民(ふみん)のための改革の火種であった。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
その古い池を、棒を持ってかきまわしに行こう、と決意したものの、治憲は決して短兵急(たんぺいきゅう)にいきなりその池をかきまわしてはならない、と自分にいいきかせた。
童門冬二『全一冊 小説 上杉鷹山』
巷間よく(こうかんよく)、今現在は一人の高齢者を二人の現役世代で支えているけど、早晩一人で支える時代になると言われていますが、私はそれすらも甘い見立てだと思っていましてね。
楡周平『限界国家』
七夕っていやあ仙台だけど、あれと似たような飾りが商店街のメインストリートを埋め尽くしてさ。それこそ、立錐の余地もない、芋洗い状態(いもあらいじょうたい)ってやつだったんだ。
楡周平『限界国家』
役所は前例主義ですからね。少子化対策なんて、これまでやったことないんですし、無事これ名馬(ぶじこれめいば)ですからね。下手に大胆な策を打ち出したはいいけど、失敗したら出世できなくなっちゃんうんですもん。
楡周平『限界国家』
私も、七十五歳になりましたのでねえ。生涯現役を貫こうとする方もおられるが、技術、社会、国際情勢、全てのことがすさまじい速さで変化している時代ですのでね。いつまでも、年寄りがトップにいたのでは、ろくなことにならない。遅きに失し(おそきにしっし)た感は否めませんが、この辺が潮時かと思うに至ったわけです。
楡周平『限界国家』
近づいて声をかけると、ルーペ越しに試作品を観察していた立花が、血走った目を向けてきた。髪をひっつめ(引詰)にして作業している加納にも、疲労が滲んでいる。
池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』
医者一家に生まれながら、自らは医学に進まず公認会計士となった"はぐれ者"だが、会計知識を武器にして、あれやこれやと大学のやり方に容喙(ようかい)してくる難敵である。
池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』
佃製作所には、小型エンジン関連の営業第一部と、それ以外の営業第二部という二つの営業部があり、ご多分にもれず(ごたぶんにもれず)、双方で張り合うライバル関係にある。
池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』