2024年4月28日日曜日

そびやかす

「わたしは反対よ」メリーは肩をそびやかす(聳やかす)ようにはっきりといった。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月23日火曜日

尻馬に乗る

実力がないのに、ただアグラモンテや一部の学者の尻馬にのっ(しりうまにのっ)て、「そうだそうだ」と騒ぎたてる。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月21日日曜日

たけ

英世は例によって不満のたけ(丈)をニューヨークのフレキスナーへ書き送る。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月20日土曜日

放埒

守之助の紹介で会った女性との婚約を破棄したのも、放埒(ほうらつ)さが原因とはいえ、その裏にはヨネ子の面影を追っているところがあった。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月9日火曜日

毀誉褒貶

英世への毀誉褒貶(きよほうへん)は、この性格のいずれの面を見たか、そしてそれを許せるか否かによって、ずいぶん異なってくる。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月7日日曜日

大言壮語

大言壮語(たいげんそうご)するだけに英世はよく頑張った。相変わらず不眠不休の勉強が続く。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月6日土曜日

無比

文化的にも経済的にも、はるかにすすんでいるアメリカにきて、この国に負けないものとして国体の無比(むひ)をあげるところなど、良きにつけ悪きにつけ、英世は明治の日本人であった。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月5日金曜日

眉唾

野口英世の一部の伝記には、「これで佐藤某の性病や、山崎某の心臓病など長年の難病が一度に治り、いずれも長生きした」と書かれているが、これは眉唾(まゆつば)である。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月4日木曜日

炯眼

石黒忠悳は越後の出で、長州・土佐といった明治政府閥とは無縁ながら、華族になっただけあって、ものにこだわらない炯眼(けいがん)の主であった。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月3日水曜日

鉄面皮

このあたりは鉄面皮(てつめんぴ)に金を無心して歩いた男とは思えぬ殊勝さである。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月2日火曜日

遺賢

野に遺賢(いけん)ありとはいえ、一応、優秀なのは帝大に入っているのだから、そこからくる人材で間に合うという考えでもあった。

渡辺淳一『遠き落日』

2024年4月1日月曜日

債鬼

清作を知っている者は、すなわち被害者、いいかえると清作はいつも債鬼(さいき)のなかで暮らしていたともいえる。

渡辺淳一『遠き落日』