わしはいつも、風月同天(ふうげつてんをおなじゆうす)を思うちょります。
朝井まかて『グッドバイ』
それを喰い止めるべくいろいろと思案を出したというのに、あんたらは洟もひっかけん(はなもひっかけん)かったやなかか。
その後は口の中で言葉を転がすだけで、さっぱり要領を得ない。が、すぐに思い当たった。雁首揃え(がんくびそろえ)て、その費えを頼みにきたのだ。
仲間の落魄を種にしてあてこする(あてこする)とは、姑息じゃなかか。
それにしても頭の中が蕪雑ににできている連中だと、お希以は鼻白ん(はなじろん)だ。
「よほど運の強かとやろう。去年も物騒なことにならんで、まあ、何よりやった」お為ごかし(おためごかし)な言い方をしつつ、周囲に妙な目配せをする。
油商にとって「日向の油」とは、阿漕(あこぎ)な商いを指している。油には妙な性質があり、熱を帯びると嵩を増すのだ。