2025年2月27日木曜日

倉皇

小牧はよほど驚いたらしく、倉皇(そうこう)と電話を切った。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月25日火曜日

乾坤一擲

まだ名前がついていないので、"一一五"と暗号で呼ばれていますが、一六〇〇cc、五人乗りのスポーツ・セダンで、御三家の中で落ち目の千代田自動者が、乾坤一擲(けんこんいってき)、これで社運を挽回しようとする命綱の新車なんですよ。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月24日月曜日

長尻

どうも、壹岐家へ伺うと、長尻(がなっちり)になって申しわけありません。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月23日日曜日

一将功成りて万骨枯る

会議のあと、一丸専務をはじめ、生えぬきの役員たちの数人が、私の部屋に来まして、これでは一将功成って万骨枯る(いっしょうこうなってばんこつかる)だと、憤慨しており、副社長である私も、これではやりにくくて、しょうがないですよ。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月18日火曜日

鎌首をもたげる

壹岐は"毒蛇"と仇名され、防衛庁の実権を一手に掌握している貝塚官房長が、こちら側の逮捕者が出るのを、鎌首をもたげ(かまくびをもたげ)て、じっと待っているのかと思うと、背筋に冷たいものが奔った。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月17日月曜日

聾桟敷

防衛部長の川又は、芦田の上司にもかかわらず、同じ檜町の空幕内にいる中央警務隊長からは、一言の報告も相談もなく、聾桟敷(つんぼさじき)に置かれ、警務隊の取り調べに芦田二佐がどの程度、自白し、どういう処分になるのか、全く解らなかったのだった。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月16日日曜日

綿のよう

小出は綿のよう(わたのよう)に疲れ切りながら、もう何度も同じ答えを繰り返し、否定した。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月15日土曜日

泰然自若

兵頭は、三十五歳という齢に似ず、泰然自若(たいぜんじじゃく)とした風貌を備え、会社と自分の仕事をいつも十年先まで考えている逸材の一人であった。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月12日水曜日

ぬきさしならぬ

そして気がついた時は、自分もその泥沼の中にどっぷり浸かり、ぬきさしならな(抜き差しならな)くなっている。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月11日火曜日

慇懃無礼

警察庁から出向して来ている官房長の秘書官の慇懃無礼(いんぎんぶれい)な声が、伝わって来た。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月9日日曜日

あたらずさわらず

日頃は熾烈な競争相手も、年に一度の懇親会とあって、極力、商売の話を避け、あたらずさわらず(当たらず障らず)の世間話をして、和気藹々の雰囲気を作っている。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月8日土曜日

豪放磊落

曾て空幕の調査課にいた小出にも、旧軍人らしい豪放磊落(ごうほうらいらく)な川又空将補の性格は解っていた。

山崎豊子『不毛地帯』

2025年2月7日金曜日

衒い

一週間の会期中、もう何度、見て廻ったかしれないが、最初はいいと惹かれていた作品の中に、気負いや衒い(てらい)が目にたって来るものもあれば、何となく見過ごしていた抹茶茶碗や、壺に、心のぬくもりを感じはじめるものもあった。

山崎豊子『不毛地帯』