「部品、作ってもいいんじゃないの?」人を食っ(ひとをくっ)た調子で財前はいい、上目遣いで富山を見る。
池井戸潤『下町ロケット』
本件はナカシマ工業を完膚無きまで(かんぷなきまで)に叩きのめすチャンスだと思います。これからお話しするのは、そのための戦略です。
田辺の言い方に、「あのですね、先生」、と思わず佃は口を開いた。「この事件、少々荷が勝ち過ぎ(にがかちすぎ)ているということはありませんか」いましがたの裁判で喉が渇いたか、コーヒーと水を交互に口に運んでいた田辺の手が止まった。
「地合い(じあい)がよくないでしょう」根木の反応は冷たかった。
筒井氏は、反幕思想を抱いて各地の同志を糾合(きゅうごう)しようと行動している彦九郎の家庭を破壊させることを企てていたのだ。
吉村昭『冬の鷹』
良沢にとって急がねばならぬことは、養子を得て家督を相続させることであった。もしもそれが果たせなければ絶家(ぜっけ)になるのだ。
玄白も、世情が平穏になったことに愁眉をひらき(しゅうびを開き)、定信の相つぐ新政策を歓迎していた。