だが、それらがいま、どんなふうに庶民のこころのなかで生きているかは、場末(ばすえ)の居酒屋の口論のなかで知ったのだった。
なだいなだ『TN君の伝記』
その日の夕方、羽田のオペレーションセンターの講堂は、制服姿の機長をはじめとする乗員、スチュワーデス、作業衣の整備士やスーツ姿の一般地上職が集まって、立錐の余地もない(りっすいのよちもない)ほどであった。
山崎豊子『沈まぬ太陽』
そもそも国見会長には、国民航空の宿痾(しゅくあ)である労務問題を打開して貰うため出馬願ったのに、社内最大の組合と真っ向から対立し、批判の声明を出されて以来、ごたごた続きで、以前より組合間の対立が深刻化したと評する向きもある。
山崎豊子『沈まぬ太陽』
「副総理の益々のご健康を念じて、北京から自社便で取り寄せたものでございます」と云い、麗々しい(れいれいしい)包装の箱を差し出したが、その中には竹丸が取りまとめる閣僚の謝礼分と共に、野党対策費も入っていたのだった。
山崎豊子『沈まぬ太陽』