2022年1月8日土曜日

隔靴掻痒

ニュースソースの関係で、自身が記事にする時さえ、はっきり書けず、隔靴掻痒(かっかそうよう)の思いでいるのですから、お渡しすることは出来ませんね、政治家は政治家なりの方法で、この密約を暴いて下さいよ。

山崎豊子『運命の人』

2022年1月1日土曜日

生き馬の目を抜く

純粋な生き方しか出来ない父に、生き馬の目を抜く新聞の世界で、抜いた抜かれたのスクープ合戦に明け暮れる夫の仕事についての心配を話したところで、心を痛めるだけかもしれない。

山崎豊子『運命の人』

2021年12月29日水曜日

天地神明

だからと云って、私がその電信案をコピーして、社進党へ渡すなど、天地神明(てんちしんめい)に誓ってございません。

山崎豊子『運命の人』

2021年12月18日土曜日

佇まい

高床式正殿の緑青の大屋根が真一文字に空間を切り、白壁と茶褐色の柱と梁の三色で統一された正殿は、簡素で荘重な日本の伝統美を凝縮した佇まい(たたずまい)である。

山崎豊子『運命の人』

2021年12月5日日曜日

偉丈夫

やや固い表情だった愛池大臣は、新聞記者たちを意識したのか、俄かに、にこやかな笑顔を作り、偉丈夫(いじょうふ)のロジャード長官と握手しながら、大きなゼスチャーで、別れの言葉を述べた。

山崎豊子『運命の人』

2021年12月4日土曜日

噯にも出さない

ロジャード長官と愛池大臣は会談の三十分遅れなど噯にも出さず(おくびにもださず)、当たり障りのない挨拶を交した。

山崎豊子『運命の人』

2021年11月28日日曜日

静謐

 道一本隔てたその向こうがシャンゼリゼ大通りである事など感じさせない静謐(せいひつ)さである。

山崎豊子『運命の人』