2026年3月22日日曜日

遅きに失する

私も、七十五歳になりましたのでねえ。生涯現役を貫こうとする方もおられるが、技術、社会、国際情勢、全てのことがすさまじい速さで変化している時代ですのでね。いつまでも、年寄りがトップにいたのでは、ろくなことにならない。遅きに失し(そきにしっし)た感は否めませんが、この辺が潮時かと思うに至ったわけです。

楡周平『限界国家』

2026年3月16日月曜日

陶然

それらの様子を、さっきから貴船は飽きもせずに眺め、尊いものでもあるかのように陶然(とうぜん)としているのである。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月14日土曜日

静謐

その連絡を受け取ったとき、ざわついていた室内が水を打ったように静まり返った。静謐(せいひつ)の中、佃のやりとりの声だけが響いている。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月13日金曜日

瑕疵

万が一、ウチの体制の瑕疵(かし)を指摘されたとなれば、我々も無傷ではいられない。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月12日木曜日

痛罵

そう決めつけると唇を歪め、「そんな脇の甘いことだから、いまだに開発の目処が立たないんだよ」、と痛罵(つうば)した。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月11日水曜日

平仄

たしかに、それなら日本クラインが佃製作所ではなく、サヤマ製作所にバルブを発注した理由として平仄(ひょうそく)が合う。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月10日火曜日

腹案

「オレにはひとつ、腹案(ふくあん)がある」その佃のひと言に吸い寄せられるように、江原の視線が動いた。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月9日月曜日

病葉

桜田は虚ろな表情になり、こたえなかった。いや、こたえられなかった。努の言葉は、枝を離れた病葉(わくらば)のように桜田の胸の奥底へと舞い落ちていく。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月8日日曜日

ひっつめ

近づいて声をかけると、ルーペ越しに試作品を観察していた立花が、血走った目を向けてきた。髪をひっつめ(引詰)にして作業している加納にも、疲労が滲んでいる。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月7日土曜日

知悉

滝川もまた、付き合いが古いだけに貴船の置かれた状況を知悉(ちしつ)していた。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月5日木曜日

霞を食う

中里はせせら笑った。「結構なことだ。だけどな、お前はかすみ食っ(霞くっ)て生きていけるのか」

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月4日水曜日

軍門に降る

「我々があの人の軍門に降ら(ぐんもんにくだら)ない以上は」一村の言葉をたしかめ、佃は通話を終えた。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月3日火曜日

袖にする

私がわざわざこんないい話を持ってきたのに、君はそれを袖にする(そでにする)というのかね。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年3月1日日曜日

容喙

医者一家に生まれながら、自らは医学に進まず公認会計士となった"はぐれ者"だが、会計知識を武器にして、あれやこれやと大学のやり方に容喙(ようかい)してくる難敵である。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年2月28日土曜日

層倍

次期学長も当確ですね。その節は、層倍(そうばい)のご贔屓をお願いします、先生。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年2月26日木曜日

いけすかない

ちょうどいま、いけすかないって、話してとところさ。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年2月24日火曜日

ご多分にもれず

佃製作所には、小型エンジン関連の営業第一部と、それ以外の営業第二部という二つの営業部があり、ご多分にもれず(ごたぶんにもれず)、双方で張り合うライバル関係にある。

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

2026年1月18日日曜日

投宿

友人・知人の家に投宿(とうしゅく)していたのだが、そのなかでいちばん気楽にのんびりさせてもらっていたのが、ロンドンの西方イーリングにある民宿「M&K」。

彬子女王『赤と青のガウン』

2026年1月17日土曜日

垂涎

その彼と二人きりで作品について語ることができるこの時間は、日本美術研究者にとっては垂涎(すいぜん)の贅沢なひとときなのである。

彬子女王『赤と青のガウン』