司令部へ救護を求めに来る満洲国政府関係者、避難民はひきもきらなかっ(引きも切らなかっ)たが、軟禁されている壹岐たちは手のかしようもなく、ソ軍当局にソ連兵の取締りと邦人の早期帰還を要請するのみであった。
山崎豊子『不毛地帯』
おそらく降伏を肯じ(がえんじ)ない部下たちに、聖旨を奉ずる道を切々と説き、説得をなし終えた後、割腹したのであろう。
二十六名の幕僚たちは寂として声なく、袂別(べいべつ)の盃を干し、一人去り、二人去って行った。